2017年3月5日日曜日

鞄づくりに思う事

ボックスカーフで作ったこの鞄の一番の特徴、表現したかったのは
両サイドのポテッとした張りのある、かなり下の方まである曲線です。
私たちにとっては難しい仕事だったのを覚えています。
一般的に、実用品であり商品でもある鞄はプロダクトとして作られます。
しかし、仕立てを追求して自分の表現の可能性を探ろうとすることもできます
それは仕立てを簡単にして見栄えをよくを考えるということとは逆の、
遠回りしても美しいと思える表現を具現化したいという考えかたです。

鞄作りに夢を見る若い方に同じ想いを持つものとして申し上げたい。
革を裁断して形にするのはそれほど難しいことではありません。
寸法のつじつまが合うものどうしを縫えば形には必ずなるものです。
それを使って何をどう表現するかが大切で、常に考えなくてはならないのは
そのことです。
いま自分ができる最高のクオリティーの可能性を追求する鞄づくりが
もっとあってもいいと思うのです。