2015年12月25日金曜日

年の瀬

はやいもので、今日はもうクリスマス。
今年も本当に皆様にお世話になり、ごひいきにして頂きましてありがとうございます。
季節感もないほどにただバタバタとしていてもうこんな時期になりました。
年末は28日(月)まで営業いたしております。
アトリエを空けることもございますので、お出での際は
ご一報よろしくお願いいたします。


2015年12月20日日曜日

革と糸でこうも違う顔

ショウルームの展示用のFugee standard lineのサンプルとしてしばらくの間、目をたのしませてくれた深いグリーンの山羊革のPM40型の鞄(写真下)。ゴツゴツした立体感のあるシボが陰影を生み、独特な存在感を放ち人気を博しておりましたが、見そめてお買い上げくださった方のもとに先日旅立っていきました。
そして気分は新たに、茶色いスウェードとブライドルレザーのコンビネーションで展示用サンプルを制作しました(写真上)。ベージュ色の糸が映える、明るく爽やかな印象の鞄になりました。同じ型紙の鞄でも、こうも変わるのかとたのしみながら毎回つくる、ショウルームに置く鞄です。







2015年12月15日火曜日

ふるーい、フランスの鞄

仕入れを兼ねたフランス旅行の時、見せて頂いた軍隊のショルダーバッグです。
友人のひいおじいさんの物で第一次世界大戦に参加した経験のある鞄のようです。
地図を入れて運ぶものだったというお話です。
かなり細かいピッチで手縫いで作られていました。
特別な補強なぞ全くないシンプルな作りで、酷使されたであろうに
壊れているところはありませんでした。
革はまだまだ十分使用に耐えます。
糸は、劣化は感じますが切れている部分はありませんでした。
こういうものを見てしまうと、革とはなにか、糸とは、鞄とは、
つくづく考えさせられてしまいます。





2015年12月8日火曜日

ダークな赤いステッチ

こちらもセミオーダーいただいた長財布と小銭入れ。
革は焦茶色のボックスカーフです。
オーソドックスな組み合わせですがステッチの色が少しダークな赤です。
丁寧なステッチがキリッとした表情の革にはえます。
そして、ヤナギ腰なのようなヤレ方をしていくこの革の経年変化も魅力の一つです。



2015年12月5日土曜日

印象的な組みあわせ

セミオーダーいただいた印象的なコンビネーションの長財布と小銭入れのセット。
深いブルーのシュリンクカーフに飴色のブライドルレザーという
異素材で反対色の組みあわせのご注文です。
長財布を開いた時と、小銭入れを開いた時に、それぞれ逆の色と素材が現れます。
色はともかく、鞣しのまったく違うものどうしの組みあわせは
つくり手側の我々の発想の及ばないところです。
コバのみがき方や品物にマッチした張りや質感にもっていくために気をつかいました。
はっと目を引くペア小物、お洒落な若い男性からのご注文でした。



2015年11月30日月曜日

角のない形 (3)

出来上がりです。
構造はいたって単純で、その分作業で無理をしないとまとまらない形です。
革のつやを鞄の曲面で見せたいと思って作りました。
初めてのお話にお出での時、このボックスカーフをずっと手に取られた
ままお離しにならないほどお気に召した革で、
試作をご覧頂いた時も私共の提案に喜んで賛同して頂きました。
鞄屋冥利につきるお仕事をさせていただいた鞄です。





2015年11月23日月曜日

角のない形 (2)

いよいよ本作のステッチです。
ほとんどすべてのステッチは片手を鞄の中に入れたまま縫う事になります。
こんな時、手縫いのすごさを感じます。
可能性のかたまりみたいなものです。
単純に「ミシンでは縫えないところも縫う事が可能」というだけではありません。
この鞄の場合、まるっこい胴体を、縫い返しでなく実現するためには
どういうことができるだろうか、というところから出発し、
丈夫さと美しさを兼ねそろえたまとめ方を探りました。
その革のいいところ、不利なところを受け入れながら、「こういうふうにしたい」と明確な意志をもってかたちづくりに向き合うといろんなことが可能になるのです。
そして、更にすばらしく可能性を秘めた世界が広がっているのが感じられます。
機械を介さずに「手で素材を感じながら縫う」って
そういうことではないかなとおもうのです。





2015年11月17日火曜日

角のない形

エッジ部がない、フラップ以外どこを見ても球面でできている。
そんな仕立ての鞄をつくらせて頂きました。
最近そういう鞄の可能性を探っています。
卵形の鞄です。
写真は2回目の試作で、全体の質感、張り感、フラップの美しく見える位置、
リボンの幅等を決めているところです。
今回は、しなやかさと張り感をあわせ持つ柔らかめのボックスカーフ。
いろいろとお見せした中でお客さまが真っ先にお選びになった革です。




2015年11月11日水曜日

素敵な道具屋さん

蚤の市には必ずといっていいほど出かけます。
古い鞄の掘り出し物を探したり、初めて見る革の道具を見つけたり。
あたりもあればはずれもあります。
今回はこんな物を手に入れました。
ご覧のとおり平行に開いていくペンチです。
ひょっとしたら私が知らないだけで日本でも普通にあるのかもしれません。
でも色々な使い方ができそうだと思いませんか。
毎年顔を出す古い工具ばかりを揃えているおじさんがニコニコして
少しおまけして売ってくれました。
おじさんの売る道具は彼の眼鏡にかなった物ばかりと言う感じで、
どうもヤスリで丁寧に磨いて油を軽く塗ってあるようです。
使用したものならではの存在感があり、美しく堂々と置かれています。
いつも引きつけられて見入ってしまうお店です。









2015年11月6日金曜日

息抜き半分の旅

長らく留守にしておりましたが、ぼちぼち仕事をはじめております。

「仕入れ」半分「息抜き」半分の旅から一昨日の夜に帰ってまいりました。
今回は、南仏プロヴァンス地方の小さい村はずれに住む友人家族のもとに足をのばしました。
自然の営みと家族を大切にしながらゆっくりと営まれる彼らの小さな暮らしぶりはなんともほっこりあたたかく、豊かなものでした。
お庭のオリーブの木から収穫した実を製油所に持ち込んでできたばかりの貴重なオイルを餞別に一本いただきました。なによりいちばん嬉しいおみやげです。






2015年10月21日水曜日

お休みのお知らせ

都合により10月22日(木)より11月4日(水)までお休みを致します。
お客さまにはご迷惑をお掛け致しますがよろしくお願い申し上げます。


オートバイのための鞄 (5)

今までお作りした事のある箱物はなるべく軽量化をというのが一つの命題であることが多く、今回のように振動を含んだ強度が大切とされる箱物は初めてでした。
先日お客さまからお電話をいただきとても良い状態で使えていますとのお話、
ほっとすると同時に、日常使いではないとは言え経年変化がとても気になる所です。
数年に一度は送って頂いてメンテナンスをしながらずっと見守っていきたい鞄です。













2015年10月20日火曜日

オートバイのための鞄 (4)


今回の鞄作りは規制される部分の多いものでした。
振動を考慮に入れた箱の仕立て、ワンタッチ脱着の機構等。
寸法もそうですが鞄の絶対的な規制は表現の可能性を狭めることにもなります。
でもその可能性をを少しでも大きくする、あわよくばその規制の中に新しい鞄の表現の入り口が見つけられれば、、。写真はその四苦八苦の一部です。
鞄作りの面白さはけっこうこういう所にもひそんでいます。






                                              




2015年10月17日土曜日

オートバイのための鞄 (3)

真鍮板とフレームを固定する部品の作製です。
と言ってもノコギリ、ボール盤とヤスリが道具です。
図面を描いて寸法を出し、真鍮ブロックにその寸法の図を描き移して作業が始まります。
溶接されたパイプが相手のため四つのブロックとも微妙に寸法が異なります。
三枚目の写真でダルマの穴が空いているのが4mm厚の真鍮の板です。
このダルマ穴を使って真鍮板の上に箱型鞄が固定されます。







2015年10月11日日曜日

オートバイのための鞄 (2)

オートバイの荷台に、確実にワンタッチで載せられる箱。
お客さまからはベルトでフレームに止めるように、という御依頼でしたが。
革へのダメージ、見た目の美しさから方法を変えました。
真鍮板を荷台のパイプフレームにしっかり取り付け、箱の底鋲を真鍮板にはめ込む、と言う方法にしました。
これだと見えるのは箱だけになります。
一番困ったのはかなり遠方の為オートバイを直接見られないことです。
溶接で組み上げてあるパイプフレームはあまり精度がよくありません。
何度か速達で図面のやり取りをして真鍮板の取り付け穴位置が決まりました。



2015年10月7日水曜日

果物な秋

うれしいいただきものが続いています。
その時期にしか食せないものをしみじみ心から味わおうと思わせてくれる季節は、
秋がいちばんではないでしょうか。
今年過ぎてきた季節を懐かしみながら味わう秋のおいしさは、春や夏にはない感覚です。
早くなって来た夕暮れの空を見ながらのおやつの時間が気に入っています。




2015年10月2日金曜日

オートバイのための鞄 (1)

面白いものを作らせて頂きました。
雨、ホコリ、日差し、もちろん転倒も、色々なリスクをご了解の上での制作でした。
オートバイのパイプフレームの荷台にのせるボックスのご注文です。
箱形のケース、ワンタッチで外せてショルダーあるいは持ち手で運べる仕様です。
一般に箱の作り方は、木ですっかり枠を作りそのうえに革を着せる方法と
厚手の革を折り曲げ縫い合わせ、要所に金属フレームをはめ込む方法とがあります。
激しく細かい振動を考え今回は後者の方法で制作しました。
オートバイに取り付けた状態を確認するため、先日瀬戸内海沿いの町に行って来ました。




2015年9月26日土曜日

AK様のビジネスバッグ

展示してあった渋めの赤でつくったPM40型を気に入って頂き、
ビジネスウーマンとして忙しく過ごされているAK様にお買い上げ頂いて
5年になります。
先日メンテナンスにとお持ちいただきました。
お渡しした時よりも色が少し深くなり、
これからますます奇麗な経年変化をしていくと思います。
この鞄はFugeeの定番のなかでは比較的軽めのものです。
男性もトートバッグをお仕事に持つ時代になってきました。
女性の方がお使いになってとてもはえる、軽めのビジネスバッグ、、
考えるとけっこう難しいものです。



2015年9月20日日曜日

お休みのお知らせ

都合により明日9月21日(月)はお休みいたします。
又、本日20日(日)は5時までの営業とさせて頂きます。
ご迷惑お掛け致しますがよろしくお願いいたします。



2015年9月19日土曜日

オセロなハンドバッグ

黒いハンドバッグといっしょに、カブセの白いタイプのものを制作しておりました。
何年かにいちどオーダーを下さるこのお客さまからのテーマは今回「白と黒」でした。
「お財布とスマートフォンが入るなるべく小さいもの」、条件はそれだけ。
何枚か絵を描いた中から、Fugeeオリジナルのモデルになるということをご了解いただき
このかたちをお選びいただきました。
写真ではわかりづらいのですが、なるべくよりミニマルな美しさを目指し、
黒いハンドバッグよりも全体的にひとまわり小さい型紙です。
今回のハンドバッグは実験的な、金具、ステッチ、革の扱い、プロポーション等の調和
を主眼に制作しまた。
可能性の追求はFugeeの大きなテーマの一つです。






2015年9月13日日曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(5)

できあがりの写真です。
胴の曲面と、底に向かって細くなっていく硬いマチを駒合わせ縫いをすることによって
シャープさと柔らかみが共存する独特な表情がうまれました。
ご覧いただく方にドレッシーで艶やかなインパクトを感じていただけたなら、
ボックスカーフという独特な質感をもつ革に負けない仕立てができたということだとおもっています。










2015年9月11日金曜日

お休みのお知らせ

都合により、9月12日(土曜日)はお休みいたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。



2015年9月6日日曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(4)

仕立ての途中の細いもの二つ。
一つは持ち手の芯です。
平たい革の帯の上に、カマボコ型に削りだした革を貼付けます。
先がスッと細いので写真だと大きな橋のようにも見えます。
実はこのカマボコがハンドバッグの見た目を大きく左右します。
もう一つは銀の留め具を鞄に付けておく紐です。
いつでも鞄の前にぶら下がる紐なので鞄とのマッチングを
どう表現するかは難しいところです。
柔らかさがあって、質感が良くて、主張しすぎない、、。
始め絹の組紐を使う事も考えましたが、そこだけ異質なのはどうなのかな。
ボックスカーフの前に置いて美しい紐。
いろいろ試して、柔らかいナイロン紐に象革を巻き込んで
ステッチをなるべく見せないように作ることにしました。
柔らかいナイロン紐に象革を巻き込む作業です。
巻き込んでから丁寧にかがっていきます。




2015年8月31日月曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(3)

ボックスカーフは高級靴では知られた素材ですが、美しい鞄となったものを見かけることがほとんどないのは、その扱いの難しさにあるといえるでしょう。
前胴、背胴に立体感を出してふっくらと膨らませました。
その胴と襠とのステッチは手縫いならではの入れ駒縫いです。
どのくらい膨らませるか、縫い合わせ部の質感はどうか、胴と襠の距離感は、等
例によってわからない所だらけです。
テストピースと二度ほどの試作を繰り返し問題をつぶしてから、
いよいよ本作に入ります。
ボックスカーフとスターリングシルバーの美しさが際立つものになりました。








2015年8月26日水曜日

ボックスカーフのハンドバッグ(2)

ポイントとなる金具はワックスを削り、シルバー925のキャストで制作しました。
棒の部分は、以前住んでいた古い日本家屋の引き戸についていたネジ式の鍵をモチーフにしました。
このように単純で重量感のあるものはボリュウムに気をつけないと
大き過ぎても、小さ過ぎても間が抜けたものになります。
棒の太さ、摘み部分の厚み、受けのボリュウムずいぶん検討しました。