2012年4月26日木曜日

一歩踏み出す

28年間続けた店の形態をやめることにした。
もちろんリスクは大きい。
しかし、メリットも大きいのだ。
店と作業場の1,2階をたしたよりはるかに大きく
気持ちのよいスペースが急な御縁で借りられることになった。
考えたこともなかったが店舗は高い。
浮いた金額はそのまま時間。
その時間で今までなかなかできなかった、作りたい物を
作れると、、。そんなうまくいくかどうかわからないが。
お客様はどうする。お出で頂けるのだろうか。
単純である。
アトリエにでも、行きたい、見たい、手に入れたい、魅力の
ある作品を常に発信すること、、、むずかしいことだが。
でも、これが本当にやりたかったのです。







移転のお知らせ

18年間おりました渋谷を離れ、豊島区要町にアトリエを構える事と致しました。
恐れいりますが、4月25日より5月12日まで移転作業のためお休みさせて頂きます。
ゴールデンウイークの期間ご来店を考えて頂いていたお客様には大変ご迷惑を
お掛けいたします。
5月13日より要町アトリエへの皆様のお出でをお待ち申し上げております。
Fugeeの不在時にお出で頂く危険性を考えますと
大変恐縮ですがお出での際はお電話を是非お願い致します。


新住所:〒171-0043 
    東京都豊島区要町1-24-8
             Tel,Fax 03-5926-3134
東京メトロ (有楽町線、副都心線) 「要町」駅 1番出口より徒歩4分
 
(地図はHPのAccessをご覧下さい)

2012年4月20日金曜日

小物のエイジング1

    Fugeeの定番小物をアザラシの革で揃えていらっしゃるY様。
    リザードのセットとローテーションをさせて丁寧に使い込んでおられます。
    購入いただいてから7年以上が経過しています。



    通常、摩擦と擦れの頻度が鞄よりも高く消耗も激しい小物類ですが、
    Y様の手にかかるとこんな感じ、、。

2012年4月15日日曜日

迷います

鞄をオーダー頂いたお客様におつくりするステッチ見本。
鞄のデザインや使用する革によって、そしてもちろんお客様の雰囲気や好みによって、
糸の色、太さやピッチの細かさもいろいろ。
縫って、コバを磨くと、ぐんとリアリティーが増す。
毎回ながら、新鮮なきもち。



2012年4月10日火曜日

なつかしい鞄2

枠と胴の縫いをほどく。枠からハンドルを外し、さらに持ち手の縫いもほどいていく。
ひと針ひと針、手で締めながら縫っていく手縫いは当然ながら縫いをはずす時も
ひと針ひと針、丁寧に糸を切りながら進めていく。そうして徐々に鞄の舞台裏の部分が
現れてくる。今とくらべると考え方は荒削りだがすごくエネルギッシュだった制作当時の息づかいがよみがえってくる。まだ経験の浅い20代の私はもちろん、店主藤井も、ものすごい勢いとペースで仕事をしていた頃の鞄だ。
ものづくりには常に不確定要素と不安がつきまとうものだと思う。作業中はその時
考えたこれで「いいはずだ」と信じることを実行するしかない。出来上がった時に
その結果の一部は鞄に現れるが、クオリティーの全容はお客様の手に渡り、何年も
使われてから徐々に明らかになるのだ。仕立てに関する事や、革の見極めの善し悪しなどについては、使われた鞄が戻ってきてから学ばせて頂くことが本当に多い。
そうしてすこしづつ引き出しが増えていく。長い間定番であるこのFL46型も、
つくるたびに色々な試みを入れて現在に至っているが、まだ発展途上である。
昔につくった鞄の仕立ては、もちろん現在のものより劣っているかもしれない。
しかし、ごまかさずに精いっぱいつくった鞄が、美しく、大々的な手術にも耐えるものになったのはそれに携わった者にとってはほんとうにうれしいことだ。
そして何よりオーナーであるI様が、この鞄を愛情深く、油分を絶やさずに使い込んでいただいていたことが今回の大修繕を可能にしたベースである事を忘れてはいけない。


                                 金原








2012年4月9日月曜日

18年目の桜

          「渋谷」という名前の谷から、
          「桜が丘」という名前の緩やかな丘を登り、
                                   下ったところが、Fugeeのある「鶯谷」。
                                   通勤路でもある桜ヶ丘の桜が今年も見事。




2012年4月6日金曜日

なつかしい鞄1

昨年の秋、懐かしいお客様が、懐かしい鞄を持って来店なさった。
黄色いバッファロー革の口枠の鞄(FL46型)だ。
私がFugeeで働きはじめてまだ年数も浅い頃たずさわった鞄である。
96年の新宿紀伊国屋ギャラリーで行われたFugeeの個展に出品する為につくり、その後
渋谷の店に展示してあったものがお客様の目にとまり、お買い上げいただいたのが、
97年か98年のことではなかったかと思う。
十数年が過ぎて、明るい黄色は飴色になり、ぷりっと張っていた胴には柔らかい
ドレープが出ていた。大事に使い込まれ、手入れも行き届いたその鞄は、とても
やさしい顔をしていた。

長年の使用に耐えかねて、手カンのすり減りが気になってきたとのことで、
新しいものに取り替えられないかというご依頼だった。
当時はまだオリジナルの金具がなく、手カンも、市販の、少しアソビの気になるものを
つかっていた。今では、そうはさせまいとする現時点でベストと思われる工夫を
するようになったが、接触している金属どうしの摩耗はいったんはじまるとどんどん
進行してしまうので厄介なのだ。

                             金原

2012年4月3日火曜日

ドル入れの仕込み

         小物づくりは鞄とまったく違う感覚での作業。
            楽しさの種類も作るものによって色々。



         チューリップは開ききる直前が断然素敵だとおもう。

2012年4月2日月曜日

鞄が油分を欲する場所

お手持ちの鞄と長く付き合うためには、やはりちょっとした気づかいが大切になります。
気が向いた時に、少し様子を観察してみてください。
鞄の開け閉めで、革の伸びたり縮んだりが繰りかえされるカカエ鞄のかぶせの部分や
口枠鞄の肩の部分などは特に、雨に当たりやすい場所なこともあって、他の大きな面積を
占める胴の部分よりも油が抜けやすいのです。艶がなくなったり、カサカサしてきたら、
他の部分より念入りに油分を補って下さい。塗布後は、布磨きの摩擦かブラッシングで
油分を革の奥まで浸透させるのもポイントです。
(油分は、靴用で無色のデリケートクリームなどの油脂とロウが配合されたものが良いで
しょう。)




Fugeeの鞄や小物の経年変化をたのしみ、長くお使いいただくために、私共では
使用頻度に応じお預かりして、コバの磨き直しや傷の補修などのメンテナンスを
させていただいております。